繊維と環境

先日の記事にはたくさんのリアクションをありがとうございました。

アパレル業界が闇だらけなのはご存知の方も多いかな?と思いますが、
繊維業界も、というかひょっとしたら繊維業界の方が環境負荷が高い産業です。
多分、繊維とアパレルをひっくるめて「アパレル産業」と呼んでいるんでしょうね。



古巣テキスタイルメーカーにいた時の話です。

古巣が懇意にしていた染色工場がありました。
小ロットに対応してくれるのと、古い染色機械を使っているため、
染め上がり、もしくは洗い上がりの生地がふっくらと良い風合いに上がるので
社長は好んでそのY染工場を使っていました。

F先輩がある時、仕事合間の雑談で笑いながら話してくれました。
「Y染工の社長なあ、今は綿の染色しか受けてくれへんねん。設備がないからやな。
昔、それでもどうしても頼むと言われてエステル(ポリエステル)の染を受けたことがあったらしいわ。エステルなんか有機溶剤いっぱい使うから、それを分解する設備がないと染めたらあかんことになっているのにな。
そしたらな?
Y染工の場所わかるやろ?
社屋の前の溝川にエステル染めた廃液全部流れ出してしもうて、
近所から異臭がするって言って警察に通報があったらしいねん。
おっさん無茶しよるなあ。(笑)」

ポリエステル生地を染めるためには有機溶剤と言って、
ベンジンみたいな刺激臭のする、石油系の液体をたくさん使わないといけません。

ポリエステル自体が石油系の繊維なので、染める時も石油系の溶剤を必要とするんでしょうね。

なので、ポリエステル繊維を染める時はこのベンジンみたいな刺激臭がする液体を
染めるためのタンクいっぱいに入れて
それにポリエステル用の染料を投入して、高温でバッシャバッシャ攪拌し続けないといけません。

で
その廃液は工場の前の溝川にそのまま流したのだそうです。
元々有機溶剤の廃液処理のための設備のない小さな工場だったので。

そうしたら近所の住民及び工場から
「異臭がする。シンナーみたいなへんな匂いがする」と言って通報があったらしく
大変な騒ぎになったのだそうです。

そのY染工の社長は
「もう絶対にエステルは染めない。」と言っていたそうですが、
「最初から断れば良かったのに・・・。」と思いましたよ。
でも圧強めに無理にお願いされて
断りきれなかったんでしょうね・・・。おいたわしや。

アパレル及び繊維業界では、
「発注する側が絶対的に偉い」というへんな階級制度みたいなものがあります。
なので、
年間コンスタントに大量に仕事をくれる大手から、ちょっと圧強めに言われたらどうしても断りきれないという図式ががっちり出来上がってしまっています。

下請けの工場さんは工賃をかなり叩かれてギリギリの利益率で運転することを余儀なくされているので、
年間ずっとコンスタントに仕事が入って初めて採算が取れる状況まで追い詰められています。

件のY染工の社長は誰よりも早く起きて、朝5時には工場でボイラーに火を入れます。
冬なんかは外気温が低いので、ボイラー内の温度が上がるまですごく時間がかかります。
夏は外気温が高いので、ボイラーの温度が上がるまでそれほど時間がかかりませんが、
エアコンなんてない工場内は高温と高湿度になり、かなり過酷な環境となります。

そんな中、発注側の身勝手な要求や仕様変更、理不尽な扱い(やたらと急かされるとか工賃をねぎられるとか)を受けながら必死でお仕事をしてくれます。

国内工場でも
みんながみんな値切るから、
無理しないと全然採算が合わない、ということになってしまいます。


ずいぶん昔なのですが、
大阪の淀川沿いに大きな染工場がありました。

染工場って、ものすごい大量の水を使い、ものすごい大量の排水を出すので
大きな川沿いに建てられていることが多いです。

淀川沿いのI染工場はかなり大きな染工場です。
上水道もものすごくたくさん使うし、
それに対して排水もものすごくたくさん出します。

環境保護に関する法律が厳しくなって、
水質汚染につながるような業種の企業に対しては
排水を無毒化してから排出するようにとの法律ができましたので
各工場、排水に対して濾過装置を自社負担で設置することが義務付けられました。

水道って、使った水と排出した水に対して料金がかかりますよね。

一般家庭だと、
上水道の使用量=下水道の使用量と判断されて、同じ体積分の上水道使用量と下水道使用量が請求されます。
なので使う水の方にはカウンターがついていますが、
排出する水の方にはカウンターはついていません。

が、
大手工場となると、
上水道は上水道でカウンターがついていて、
下水道は下水道でカウンターがついていて、
そのカウンターの分量によってそれぞれの水道料金が請求されるらしいです。

件のI染工場は
少しでも下水道料金を節約するために(自社の利益だけのために)
濾過装置に流れ込む下水道のカウンターの手前に分岐点を設けて
濾過装置を通さずに直接淀川に下水を放流する、
バイパスを設置しました。意図的に。

濾過装置に流れ込む汚染水の量が少なくなれば、濾過装置のメンテナンス代も節約できますしね。

その事実が行政にばれて
確か少しの間営業停止になったはず。


営業停止の後で行政指導に基づいて、汚染水を直接淀川に排出するバイパスは閉じられたのでしょうね。

その数年後
「大阪の水は六甲山のミネラルウォーターに引けを取らないくらいのクリーンで美味しい水やで」
というキャンペーンが打ち出されました。
淀川の水復活宣言ですね。

実際に淀川の水の透明度は上がり、水生生物もずいぶんと増えたみたいです。
(それと共になんか凶暴な外来種も増えて一時期問題になっていましたが(笑))

アパレル業界及び繊維業界の
環境負荷って本当にすごいんです。

とにかくたくさん水を使います。
排出される水はワックスなどの油性の汚れや染料で汚れています。
浄化されて排出されるとはいえ、排出して良い水の浄化率は100%ではありません。

「自分のところだけが儲かれば他がどうなっても我関せず」
という体質
それはとっても視野が狭いんじゃないかなと私は思います。


Wildberryではアパレルの残反を主に扱っています。
15年ぐらい前から、繊維不況が止まらなくて、この先残反を扱う仕事は行き詰まるに違いないと言われていました。

でもそれから15年経っても、Wildberryはほぼ残反を取り扱ってもやれています。


それぐらい、
アパレル業界、繊維業界って廃棄物が多いんです。

決まった面積及び体積のお家の中に
新しいものを常に買い続けていたら
ゴミ屋敷になっちゃいますよね。

極端な例ですが、こんなふうになっちゃう場合もあるんじゃないかなと思います。

おうちがお洋服で埋め尽くされていて、
天井が近い、まさに這ってじゃないと移動できないような状況で、
お風呂もトイレも埋まっていて使えないような状況で暮らしているおうちをお片づけする過程が記されています。


これもね、
お洗濯が面倒臭い
家事が面倒くさい。
だから新しいものを買っちゃおう。

的な現代のファストファッションや「モノ」に対する現代の価値観が引き起こしたことなのではないかなと思います。

お料理が面倒臭いから、出来合いを買っちゃおう。
ゴミ捨てるの面倒くさいから、その辺に放置しちゃおう。
掃除が面倒くさいから、お風呂は銭湯かネットカフェの無料のシャワールームを使っちゃおう。
お洗濯が面倒くさいから、
どうせ安いし新しい服を買っちゃおう。

でね、
このおうちのことを嘲笑うためにこのブログをご紹介したのではなく、

今。私たちが住んでいる地球が
こんな状況になってきているんじゃないかな?
と私は思うんです。

このお家が地球だとして
ここに住んでいる人たちが我々人間だと置き換えて考えてみてください。


私たちがこのまま「便利」を求めて暮らし続けて行ったら
地球がこんなふうに廃棄物でいっぱいになっちゃうかもしれないなあ。

私はそう思いました。

人々が
「足りない、足りない。もっといろんなものを所有しなくては。」
と思ってしまうのは
物質が足りないのではなくて
精神的な何かしらが足りていないから、
その不足を物質で埋めようとしているのかもそれないぞ?
なんて思います。

私自身が団塊ジュニアなので
その価値観を刷り込まれて育った世代ではあるのですが、
今、思います。
「物質的な豊かさが必ずしも精神的豊かさをもたらしてくれるわけではないぞ?」
と。


「箪笥の中もういっぱいなのに欲しいもっと欲しいでも本当は寂しい。」

さてここでまたぶっ込みクイズです。
カットクロスとか歯切れセットをプレゼントいたします。

この歌詞は
誰のなんていう曲でしょう?

こちらからエントリーくださいね。
日曜日いっぱい、エントリーを受け付けます。

グーグル先生に聞いてもらっても全然大丈夫です。
もし良かったらYouTubeに音源が上がっているので聞いてみていただけたら嬉しいです。

産業の闇、社会の闇、そして政治の闇
今の日本社会は闇だらけですね。

そんな日本に
期待なんかできないよ。。。
みんな保身ばっかりのように見えますもん。

パパ活とかね。
これからもいっぱい出てくるんだろうなあと思います。

投稿者: wildberryshopblog

Wildberryという生地のネットショップの店主です。

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