繊維業界の廃棄物問題その3

先日の記事、シミのついた生地を送料お客様負担でもらってください企画には
多数のご応募をありがとうございました。
反物を送ると送料が高くなってしまうので心配でしたが
一番最初にご連絡をくださった兵庫県にお住まいのKさまにもらってもらうことになりました。

ご応募ありがとうございました。

本日、送らせていただきますね。

生地には、7点まで汚れや難や傷があってもA格が付きます。
8点からC反になります。
C反になったら、途端に「これは正規では使えない生地」とされて
処分の対象になります。

1反20〜30mの生地もあれば、1反50mの生地もあれば、70mの生地もあります。
でも、1反あたり7点までという決まりなんです。
おかしな決まりですね。

その上、
検反の際に見落としもあったりします。
検反業者によっては
「寝てたんか?」と突っ込みたくなるぐらいにガバガバな検反をして
A格であげてくるようなところもあります。

正規の値段で引き取ってもらうために、
故意に難を見落としてA格であげているような場合もあると私は思っています。
C反にするとせっかく作ったのに買い取ってもらえないから。

生地商社から買った生地で
ロープじわ(広範囲の色むら)の難が広く見られたので
「これ、使えたもんじゃないから交換して。」と担当営業に言いましたら
「A格で上がっているし、よそのアパレルさんからは文句なんて来ていないので、返品も交換も応じられません。」と
まるで私が言いがかりをつけているかのように言われることもありました。
その生地商社からは当時コンスタントに定番生地を仕入れていたのですが、
全部取り扱いをやめました。

正規の値段で買って、
販売できるような品質じゃなくて、
返品も交換も応じてくれないなんて理不尽すぎるので。

おっと、話がずれました。


アパレル製品の生産の現場では、
製品を作る段階で、型入れ、裁断という工程があります。

縫製工場が裁断から縫製まで一貫して行ってくれる場合もあるし、
裁断は裁断屋さん、縫製は縫製工場、というふうに細分化している場合もあります。
今はパタンナーさんはアパレルCADを使っている場合がほとんどなのですが、
そのCADシステムの中に「マーキング」という機能があります。
これはCADのシステムが、
一番効率の良い型入れ方法を自動で算出してくれるというものです。
すごく緻密に配置された図が送られてきます。
大体数人分が一枚の紙にギッチギチに配列されています。
それを1リピートとして、その1リピートずつ生地をカットして重ねていきます。
自動裁断システムを導入している工場さんでは、
生地は最大30cmまで重ねることができるのだそうです。
自動裁断システムの裁断台には小さな穴が開いており、
そこから空気をものすごい勢いで吸い込むような仕組みになっているので
生地を重ねても、ピタッと裁断台にくっついて、カットしてもずれないようになっています。

昔ながらの裁断屋さんは、この工程を手で行います。
腕の良い裁断屋さんは、パタンナーさんがCADで算出したマーキング表を守りません。
独自のやり方で、効率の良い裁断の方法を編み出しているので、
それに従って裁断します。

腕の良い裁断屋さんがやってくれたら、
CADで算出されたマーキングよりも1着分の用尺が少なく済む場合が多いです。

この場合も生地は重ねて糸鋸みたいな裁断機で一気にカットして行きます。

自在式裁断機を使用する場合もあれば、
据え置き型の、ミシンみたいな形の裁断機を使って、生地を動かす方法で裁断する場合もあります。

で、
大概の場合、数着分のを一つのリピートとして生地をカットするので
その1リピートが何mという感じになり、それを重ねて裁断します。

で、
難があったら、そこでロスが出ます。
昔ながらの裁断屋さんは、目視で難があったらその部分は避けてくれます。
でも1リピート分の生地が丸ごとロスになります。

自動裁断機を導入している工場も、工場によりますが、
目視でチェックしてくれる工場さんは1リピート分がロスとして跳ねられることになります。

アパレルメーカーでは、
できるだけ効率よく、できるだけ少ないコストでできるだけたくさんの製品を製造することに命をかけていますので、1着あたりのコストにものすごく拘ります。

これは生地や原材料のコスト的な効率もそうですが、人件費、工賃的な効率もそうです。

OEM会社も、生産の経費をできるだけ安く抑えるために、受注枚数を生産するために必要な最小限の用尺から、ほんの少しの余裕分を足した数量でしか生地生産のオーダーを出しません。

なので、
生地に難がちょいちょいあってもらっては困るんです。

ということで、
1反につき7点までの難は仕方なく飲み込みましょう。
でもそれ以上難があったら引き取りませんよ。

というルールができてしまっているのだそうです。

アパレルメーカーから「この製品を、作ってください。」
とオーダーが来ましたら、
OEM業者はまずその絵型とスペックからパターンを手配し、
そのパターンから1枚あたりの用尺を計算し、
その用尺から生産する生地の長さを計算し、
生地になんかあったらいけないので、大体2割ぐらいは多めに生地の生産もしくは購入する手配をし、(ここで生地ロスが出る可能性が発生します)
縫製仕様書を作り、製品の生産工賃を計算します。

用尺計算が甘いと、実際に使った生地の量が思っていたよりもすごく少なく済んでしまった、
なんてことが発生してしまい、
結果、ものすごく大量の生地が余ってしまった、
なんて事も起き得ます。

また、逆も然りで
オーダーを受けた枚数よりも少しだけ少なくしか出来上がらなかった、なんてことも起こり得ます。

アパレルメーカーは減産はほとんど許してくれません。
廃棄を前提に受注の2倍量ぐらい発注してるのに。

不足分が1枚でも再生産して納品しろと詰め寄って来るメーカーもあります。

生地が別注の場合は、めちゃくちゃ大変なことになります。
たった一枚のためにまた1反新しく生地を作って縫製手配して、
って、そのコスト全部サンプルコストになってしまうので、
1枚あたりべらぼうに高いものになってしまいます。

それでも買取価格は他の量産品と同じ単価。
完全に赤字になってしまう上に大量の廃棄生地が出てしまいます。

その生地が別注でしかもブランドロゴなんかが入ったような版権ものだった場合は、
転売もできなくて、本当に廃棄しないといけないことになります。

少し前に、居候がブランドさんとこのようなトラブルが発生してしまったと教えてくれました。

サンプルをもとに展示会を行って、受注した分を鑑みて12枚のオーダーが来たんだそうです。
それぐらいの枚数だったらサンプル反だけで大丈夫かな?と思い、
そのまま計算しましたら、
11枚しかできなかったのだそうです。
「11枚しかできなかったのでそれで納品しても良いですか?」
と言いましたら
「無理。12枚納品して。」と言われたのだそうです。
なので、
「1枚のために再度生地を生産して縫製してってなったらロスが多すぎる上にうちが赤字になってしまいます。どうか11枚で勘弁して。」とお願いしたのだそうです。
そうしたら
「他の業者さんはみんなやってくれるのに、あなただけできないの?」
と言われたのだそうです。

1000枚や2000枚発注してくれるのだったらまだしも、一枚あたり数百円の利益で12枚が11枚になっただけで。その不足分1枚のために生地を再生産してその損失分を全部飲めと言われるのは納得がいかない。
そもそも12枚って、サンプル単価じゃないとやってくれないよ?
それを量産単価で走っているのに、そんなことってある?

と、嘆いていました。

そのブランドのデザイナー兼オーナーさん、
私も知っている人だったのですが
「あ〜・・・そういうこと平気で言いそう・・・。」
とつぶやいてしまいました。

アパレルブランドさんって、生地屋や製品屋に対して上から目線で接してくる人、
案外多かったりします。
口調は丁寧なんですがね。
何かあった時に本心が露呈してきます。怖い怖い。

中には絵だけ見せてきて「これを作ってください。」と、スペックすら出してくれない人もいるし、
他社ブランドの製品をそのまま渡してきて
「これと同じ形のものを作ってください。」と言ってくるようなデザイナーさんもいます。

ちなみに、Wildberryのお客様には作家活動をしていらっしゃるかた結構多いのですが、
「うちのお客さんの方がたくさん売ってそう・・・。」と正直に思ってしまいましたよ。

以前は1型(1品番)3000枚とか4000枚とかオーダーが来るのが珍しくなかったのですが、
最近では大手の超有名ブランドでも30〜40分のいちぐらいの数量しかオーダーが来ないのだそうです。

ひと型100枚って、
いやいや、店舗数300ぐらいあるようなブランドのはずなのに。。。
と言いかけて、
「え、ひょっとしてそれぐらい店舗数を減らしたのかな・・・。」
と思いハッとしました。

今のアパレル業界の仕組みは、
アパレルブランドだけが損をしないような仕組みになっていて、
大量の損や廃棄物を全て下請けの業者に押し付けるような仕組みになっています。
下請けはみんな泣かされています。
それでも昔はたくさん売れたから良かったみたいなのですが、
最近は超大手でも昔の40分の一ぐらいしか注文が来なくて
赤字の方が先走っているような状況みたいです。

「仕事くれてやってるんだから」というスタンスのブランドさんと
「下請けさんたちが頑張ってくれているおかげでいい製品ができました。」と言ってくれるブランドさん、
最近は両極端になって来ているのかな〜という気が、うっすらします。

投稿者: wildberryshopblog

Wildberryという生地のネットショップの店主です。

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