どう生きるか

昔々、私がまだ独身で、札幌で建築パースを描くお仕事をしていた頃
気に入って通っていた美容院がありました。

「イセさん」と言う店主と、「チイちゃん」と言うアシスタントが二人でやっている
小さなお店でした。

店主の「イセさん」は南国が好きみたいで
店内は椰子の木の大きな鉢植えがあって
天井からぶら下がったシーリングファンがゆっくりと回り、
ハンモックが下げられていました。
(極寒の地札幌なのに)

南国風とヨーロッパビンテージ風の椅子やソファーがあちこちに置かれ、
とっても居心地の良い空間でした。

何よりも「イセさん」のカットが上手で、
その人の雰囲気と髪質で、ちょうど良いカットが得意な人でした。
いわゆる今で言うところの「似合わせカット」ってやつでしょうね。

「チイちゃん」は女優の趣里さんみたいな雰囲気の可愛い女の子で
カジュアルファッションやインテリア、音楽などいろんなことに興味があって
インターン期間が終わってスタイリストになったらすぐにオーストラリアに
ワーキングホリデーに行ってしまい、
そのまま帰ってきませんでした。

「チイちゃん」がいなくなったあとは「イセさん」は一人で営業をしていました。

大阪でWildberryをやっていた頃、
用事があって札幌に行くことがありました。
その際に「久しぶりにイセさんに切ってもらおう」と思いお店に伺いましたら
看板が変わっていました。
「あれ?」と思い中に入ってみましたら、お店の中のインテリアはそのままですが、
何かが違っているように感じました。

中から出てきた人に事情を話しましたら
「居抜きでこの物件を買いました。今は私がこの店のオーナーです。」
と自己紹介されました。

「イセさんに切ってもらいたいんですが。」
と言いましたら連絡先を教えてくれました。

連絡が取れたイセさんは、
「もうすぐマレーシアに移住するから、店を売っ払って(どうも持ち物件だったみたいです)それを資金に渡航するつもりなんだよ。今は自宅で闇営業してる。」
と言っていました。

切ってもらいたいと言いましたら
「じゃあうちまで来て。」と言われました。
札幌競馬場の近くの、市営住宅でした。(今もあるのかな?)

桑園駅から歩いて15〜20分ぐらいかかったような気がします。
古い団地の、指定の棟の、指定の部屋に行きましたら
「古い市営住宅」の概念をぶっ飛ばすような
南国リゾートのような空間が広がっていました。

リビングの中央に古い大きなソファーが配置されていて
壁面は天井まで全て手作りの本棚が配置されていて
そこにはレコードと、写真集と、雑誌が詰め込まれていました。

市営住宅のお家賃は2万円台だと言っていました。

「こうあるべき」
「こうでなければならない」
と言う言葉が好きなタイプの両親の元(しかも父親は公務員)に生まれてそのような価値観を刷り込まれながら育った私は
「全然違う価値観」で素で生きている「イセさん」に衝撃を受けました。

「こう言う生き方もあるのか・・・。」と。
ここまで書いて、
「はて、イセさんは今どうしているのかしら?」
と思いネットで検索してみましたら
Facebookのページがヒットしましたよ。
今は札幌に戻って写真家として活躍しているみたいです。


自由に行きたいと願いながらも、
自由に生きるって、実は結構難しいことですよね

「普通はこうでしょ」とか「これが正解」の呪縛って
私たちが認識しているよりももっとずっと、私たちを束縛しているのかもしれません。

レールから外れることに対する恐怖心を
私たちはなかなか取り外すことが出来ないでいるのかもしれません。

どう言うふうに生きたいかは
私たちそれぞれが自由に決めて良いはずなのにね。
ごちゃごちゃした我が家ですが、気に入って暮らしています。

投稿者: wildberryshopblog

Wildberryという生地のネットショップの店主です。

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